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「あの日もこんな天気だったな」
自分を照らす日光を半目で睨みつけ思い出したくも無い記憶を振り返る。
「どうかしたのかい?」
一人立ち止まり天を見上げていると横を歩いていた老婆に心配そうに声を掛けられる。
「大丈夫だよ清子さん。見ての通り力持ちだから任せて」
「あらそう。ありがとうね。ひーくん助かるわ」
おばあさんとの会話で今の自分を再認識する。
もうあれから5年経っているし今はもう違う場所に居るのだ、
今は心配する事は無いだろう。それに何も出来なかったあの時とは違うのだと。
「清子さんこんなに沢山買ってどうしたの?今日誰か家に来るの?」
「何言ってるんだい、今日は二人が来て丁度5年目なんだから、ごちそうを沢山作る為に決まってるじゃない。ちゃんと二人で来るんだよ」
「分かった。声かけておくよ」
「それよりも今日学校はどうしたんだい?」
少々不安げに老婆が訪ねてくる。
それもそうだろう今は平日の昼時。
普段なら学校に行き、教員の下、勉学を学んでいる筈の時間帯だ。
高校生であり、今年受験生でもある自分にとってそれは例外では無い。
⒓月を超えたあたりならば受験が終わり学校の方針次第では特に問題は無いのだが、
今は6月、少なくとも受験が終わっているとは考えにくい時期だ。
だが、周囲の人からしたら自分がこの時間帯、
町中を歩いている姿に違和感を持たないかもしれない。
上下着崩した学ランに赤色のシャツを着ているこの格好は
誰がどう見ても不良の代名詞とも言える格好だ。
違和感があるとしたらそんな人物が老婆と楽し気に会話をしているこの状況だけだろう。
おやじ狩り?の様な物と思えば逆に違和感が無くなるがそれはそれで問題が出てくる。
「おじさんの所で職場体験をしてて今はこの時間帯は学校の外なんだよ」
等と誰でも分かる様な嘘を吐いてごまかす。
実際全て嘘な訳では無い。
おじさんと協力して“仕事”をしているのは事実ではあるが職場体験では無い。
あくまでフェアな関係なのだがそう言うと心配をかけてしまう事になるだろう。
「あまり無茶はするんじゃないよ」
そんな嘘も長年の経験を持つきよこさんにとって意味をなさず、
寧ろ心配をかけてしまった様だ。
「分かった。おじさんにも伝えておく」
そう言って道なりに進もうと思った時、視界の端で奇妙なモノを捉えた。
「………」
あぁ、見間違いだったらどれ程良かっただろうか。
心の底からそう感じる。
心配されたそばから直ぐに心配させる事になるのだ、いい加減嫌になる。
「清子さん、ちょっと遠回りで家に帰ろうか」
「いいけど“また嫌な感じ”がするのかい?」
「そういう事、信じて」
「はいはい、わかってますよ」
清子さんにはその正体を教えていない。
だが昔から虫の知らせや、
いやな予感がすると言って遠回しに危険から遠ざける様にしていた。
そして今まさに自分の視界の隅でソレが存在していた。
距離を取る様にして相手に気付かれずにその場を離れる。
離れる中ポケットからスマホを取り出し一本の電話を掛ける。
「もしもしおじさん」
『おう、聖か。どうした?』
「家のスパー近くにアレが居たからそっちで追跡しておいて」
『いいけどお前は?』
「今清子さんといるから」
『あぁ、成程。こっちで手を回しておくから“母さん”を頼むぞ』
「分かってる」
『あっちに連絡は?』
「まだしてない」
『ならこっちから連絡しておく。送り届けたら現場に急行してくれ』
「了解」
要件を話し合い通話を終える。
久しぶりの本格的な仕事だ。
ちゃんと準備して夕飯までには帰らなくては。
「状況はどんな感じですか」
指定された座標近くにたどり着くと
そこには見知った顔が路地裏の物影から伺う様に立っていた。
色あせた薄茶のコートに紺色のスーツ、にネクタイ、無精髭に白髪交じりの短髪、
タバコを吸いながら立つその男の眼鏡の奥には獣のような瞳がギラついており、
一般の人ならば間違いなく近づこうとすら思わない程の凄みを放っていた。
下手をしたらそっちの人と間違いかねないだろう。
そんな野性味の溢れる“警察官”がきよこさんの息子であり、
自分達の叔父にあたる人物、“松木大河”その人である。
「路地裏に入ってからそれっきりだ。恐らく場所は気づかれていないが尾行されてるのには気付いたみたいだな、完全に誘ってやがる」
「それおじさんの尾行が下手だったんじゃ?」
「うるせぇな、俺は威圧感があるから野生の奴には直ぐにばれるんだよ。お前みたいな“いい子ちゃん”と一緒にするな」
「こんな格好の奴にいい子もありませんよ」
「だったらその丁寧な口調止めろ。分かるやつには直ぐにバレるぞ」
「今回みたいのにはバレないのが良いんでしょ」
「言ってろひよっこが」
鼻で笑うとおじさんは2本目のタバコに手を出し始めた。
「あいつはどうした?」
「あぁ~繋がんないんで多分授業中ですね」
「お前と違ってちゃんといい子だな」
「あいつには人並みの幸せを過ごしてもらいたいですからね」
「本人はそう思ってないみたいだがな」
乾いた笑いがこみ上げる。
本当はこちらの世界には来て欲しくなかったのだが、
自分の力になりたい一心で独学で0から学び、
既に自分の相方ともいえる所まで力を付けてしまっている事を考えると
もう人並みとは言えないのかもしれない。
それでも自分はこちらでは無く、“表”の幸せを掴んで欲しかった。
「そういえば清子さんが今日はご馳走にするから早く帰って来いって言ってました」
「今日に限ってか……しゃあない、何かあった時はフォローするから一人で行ってこい」
「あぁ、やっぱりですか?」
「出費は嵩むが今日は“掃除屋”に頼んで後始末させる」
「お、じゃあ派手にやってきていいですね」
「5分で片付けて来いよ」
「了解」
背中に背負ったバットケースを手に持って一人路地裏の中へと入っていく。
叔父がこんな格好をしているから勘違いされやすいが、
別に筋者の事件や粉とかの密売の事件を手伝っているわけでは無い。
そんなものは全て頭の良い大人たちに任せればよい。
ならば何を手伝っているか、叔父は何をやっているのか。
【特殊自然対策課】と呼ばれる組織がここ横浜県警の中に存在する。
その部署はいったい何を対象にしているのか、答えは見るに明らかだ。
路地裏を抜けた先には少し開けた広場になっており、
それは自分を待ち構える様に仁王立ちで立っていた。
全身から迸る赤い蒸気。
深紅の鱗の様な物に包まれた肉体。
白眼の無い真っ黒な瞳に額には一本の赤い角。
体長3mを超えるその人物は黒い棘の付いた棍棒を持ちニヤリと笑った。
【特殊自然対策課】は自然災害や環境問題の対応する物では無い。
【特殊自然】通常の人には認識すらできない
超常の存在“怪異”と呼ばれる化け物を秘密裏に討伐する為に設立された
【魔術師】達の特殊組織である。
つまり今目の前にいる“鬼”と呼ばれる頂上の生物が正にその対象の“怪異”になる。
「節分にはまだ早すぎませんか?」
目の前に立ちふさがる鬼の怪異を見て思わずそんな言葉が漏れた。
だが油断してはならない。
鬼という存在は“怪異”の中でもかなり強力な分類になる。
そもそも“怪異”とは自然若しくは人為的に生み出され超常の生物であり、
3つの条件を満たした時、その虚像を現実へと具現化させる。
1つ、触媒若しくはソレに適した場所である事。
2つ、その虚像を明確なイメージがある事。
3つ、それを実現させるだけの強大な魔力がある事。
その全てが一つに集約した時“怪異は出現するのだ。
目の前にいるこの“鬼”は場所や触媒は不明だが、
誰もがイメージしやすいという部分では
簡易的にかつ偶発的に発生しやすいモノで上位の存在である。
そして何よりもその肉体から魔力が抑えられずにも出だしている所を見るに、
この“鬼”は膨大な魔力を持つ何者か、
若しくは膨大な魔力が沸き上がる霊脈から生まれた者という事になる。
前者も後者も今後を考えると厄介な事なのだが、
ひとまずは目の前にいるこの怪異に全力を注ぐ事にしよう。
充分に距離がある事を確認すると持ってきたバッドケースから自分の獲物を取り出す。
取り出したのは正真正銘スポーツ料品店で売っている1本の金属バットだ。
違う点を上げるとすれば金属部分が見えなくなる程に
張り付けられた大量の“札”の数々だろう。
そんなものが果たして効く物なのか?
と、疑問を持つ者が殆どだと思うがその効力は見ての通り。
バッドを取り出した瞬間、先程まで余裕を見せていた“鬼”の表情は
今や見間違いだったのかと思える程に険悪な表情へと様変わりしていた。
「やっぱり、コレ嫌いみたいですね」
ニヤリと笑いバッドを担ぎ一歩、また一歩と距離を詰める。
【特殊自然対策課】が“魔術師”達の組織と言ったが彼、“東雲聖”は違った。
確かに魔術師ではあるが、彼の扱うソレは魔術と呼ぶには少々荒々しく
現代においては古めかしい。
そもそも彼は協力者であり組織の人間では無い為、“魔術師”である必要は無いのだ。
ならば彼はいったい何者なのか。
この極東の島国で“魔術”とは違い独特の進化を遂げた異質なモノが存在する。
現代においてはその技術が知れ渡り“魔術”と呼ばれるようになったが、
未だ根幹が変わっておらず、この数百年一切進化を遂げていない最果ての魔術、
人々はその魔術をこの極東独特の名称で言い表した。
【陰陽師】と。
「申し訳ないけど用事があるんで少々手荒に行かせて貰いますよ」
(とは言ったもののかなりきつい相手だな)
本来“怪異”という存在は知略を尽くしてくるものでは無い。
基本的には本能が赴くままに快楽を貪りつくすのが殆どで衝動的に動く事が多い。
それは目の前の“鬼”に至っても例外では無い。
自然的に発生したモノは多くの集合的無意識から生み出される為、
形状のイメージがあっても中身が伴っていない事が多い。
しかし、世の中には理性的に動く“怪異”も存在する。
だがその場合通常の怪異より数段上の脅威となるのが殆どだ。
“怪異”に理性を付ける方法は2つ。
1つは自然的に発生したのでは無く、
人為的に、それも“一個人”が目的をもって生み出された場合だ。
この場合生みの親のイメージに形が寄り添い、
その時に思い描いた思念を元に性格や思想が反映される。
怨念を持って生み出された物はより残忍なモノに変貌する事になる。
もう一つは自然的に発生したモノが後天的に知能を持った場合。
この場合は例を上げるとキリが無いが今はそのどちらかはさして問題では無い。
一番の問題はこの“怪異”は相手を誘い出す程の冷静で狡猾な思想を持っているという事。
(騙し打ちやフェイントが有るかもしれないから要注意だな。あの体格と魔力量から恐らく一発でも貰ったら“終わり”だと思って臨んだ方が良いだろう)
超常の生物と対峙するとはいえ魔術師はあくまでも人間。
多少魔術で肉体強化などが出来たとしても
それは“怪異”の身体能力に比べると誤差程度でしかない。
一流の魔術師ならば話は別だが、
通常の魔術師にとってはいくら魔術で強化したとしてもアスリートレベルが限界である。
まして、彼“東雲聖”にとっては悪い意味でこの件は例外である。
右手にバットを持ちその表面をなぞる様にして左手を動かす。
【五行・陰陽道 金剛】
聖が発動させた陰陽術の一つ。
呪符巻きつけたモノを対象にその強度を上げる“硬化”の術。
それ以上でも異例下でも無いが、
通常のバットが一瞬で“怪異”に影響を及ぼす退魔の武器へとその姿を変貌させた。
バット型の光り輝く鈍器をその場で生成したのだ。
光り輝くバットを振り回しながら“鬼”に向かって一直線で駆けだした。
姿勢を低く走り、鬼が金棒を振り下ろす隙に一気に懐へと飛び込む。
振り回すバットに体を預けその遠心力を使い
振り下ろされた金棒の側面に向かって叩きつけた。
『ガィンッッ!!』
質量を持った金属同士が衝突して巨大な金属音を響かせる。
(弾かれた!!)
相手の武器を破壊するつもりで放った渾身の一撃は破壊するに至らず、
それ所が、こちらが一方的に体制を崩す事になってしまった。
押し返された力を利用して跳躍し一旦距離をとる。
(マズいな)
現状即席で使える最大の攻撃力を誇る攻撃がいとも容易く弾かれてしまった。
相手が素早くない為、攻撃を避ける事は出来るが
こちらからの決定打が一切なくなってしまった。
本体に直接なら問題は無いが少なくともあの“金棒”を取り除かない限り
触れる事すらできないだろう。
この様な相手に対しては搦手が非常に有効なのだが
生憎自分には相手の弱点を見抜くような鋭い観察眼は持ち合わせていないのである。
その役目はいつも相方の役目なのだが・・・。
『…ザッザザ~……ア、ア~テステス』
タイミングを見計らったかのように突如インカムから合成音声の様な物が流れ始めた。
「状況の把握は」
『スンデル』
「どのくらい必要だ?」
『サンプンホシイ』
「了解」
短めの会話だけを済ませ鬼に向き直す。
攻撃する為では無く耐え凌ぐ為の攻防。
相棒が相手の弱点を見抜く為の3分間を死にもの狂いで稼ぐ。
その為には相手の一番優位な条件を満たして全てをさらけ出さなくてはならない。
(つまりこういう事になるんだよな!)
聖は再び“金剛”を起動させ一直線に相手の懐に潜り込んだ。
再び振り下ろされた金棒を今度は“金剛”で正面から受け流していく。
右へ、左へ、ガリガリと金属がこすれる音と共に次々とその攻撃をいなす。
攻撃する事は無く防御のみに全神経を集中させる。
本来人間と“怪異”との戦闘はこれ程までに長引く事は無い。
基本的な身体能力では“怪異”には遥か及ばないのだ。
ピンからキリまでいるが
目の前にいる“鬼”に対しては正に人と鬼の差があると言っていいだろう。
故に怪異との戦闘は一瞬で決着を付けなくてはならない。
非力な人間にとって彼らの一撃はそのまま死へと直結する事になるからだ。
だから魔術師たちは長時間戦う為の攻撃魔術を発明しない。
たいていは花火の様に一瞬で対象を燃やし尽くす程の大火力を有して
一瞬で解決させるのだ。
無論自分も同じ様な事をすればよいのでは?
と思われるだろうが生憎自分は“魔術師”では無く“陰陽師”であり、
更に半人前の為、道具を使用しなくては強力な術を扱う事が出来ない。
そして現状その様な道具は生憎持ち合わせていないのである。
故にこの状況を打破する為に一番強力な技を効果的に与える為に
こうして死に物狂いでさばいているのだ。
『ジュンビデキタ。サクセンハ……イジョウ』
「了解!」
鬼の金棒を向けて受け流し、ワザと地面に叩きつける。
コンクリートに亀裂が入り、細かい破片が周囲に弾け飛んだ。
聖はその棍棒を踏み台にして鬼の頭上へと跳躍する。
頭上を飛び越えると同時に内ポケットから無数の“呪符”を空中にばらまいた。
札束がひらひらと舞い落ちる様に飛来する札が鬼の周囲を舞い散る。
その中のいくつかが鬼の体に付着した瞬間にその言葉を唱えた。
【五行・陰陽道 “炎羽”】
呪符に刻まれた文字が導火線のようにみるみる縮んで行き、
瞬く間の内にその姿を大きく揺らめく炎へと変化した。
鬼は何とかしてその炎を消そうと張り付いた札を剥そうと必死に掻きむしる。
敵の注意がそちらにそれた瞬間を聖は見逃さなかった。
【五行・陰陽道 “緑蛇”】
その言葉と共に今度は地面に落ちた札の文字がコンクリートに染み込んで行き、
日々の入った地面の隙間から無数の植物の弦がまるで意志を持っているかのように
次々と鬼の体に巻き付き、体の自由を奪って行く。
完全に動きを封じた事を確認すると再び“金剛”を起動させ、
その上に更に呪符を巻き付けた。
「火力が足りないみたいだから今回は椀飯振舞だ、ありがたく思えよ」
【五行・陰陽道 “金剛夜叉”】
黄色に輝く鉄身を先程、
鬼を焼いた炎が包み込み日の光のように赤みのかかった金色に光り輝いた。
その姿は最早只の硬化の術では無くなっていた。
その光に充てられた鬼は必死にこの場から逃げ出そうとするが、
何重にも絡み合った植物から逃げる事が出来ず、必死に叫ぶ今年が出来ないようだ。
「悪いな、今楽にしてやる」
“金剛”を大きく振りかぶり、鬼の頭部に向かって側面から振り抜いた。
体の髄まで駆け巡るその鈍い感触と共に
目の前の鬼の頭部が『ジュッッ…』という音と共にその姿を消しさった。
彼を縛り付けていた植物も縛る対象が霧散して消えていった事でその力を失い、
ぽとぽとと大地に崩れ落ちて行く。
『ショウメツカクニン』
相棒のその言葉と共にこの怪異の討伐に成功した事を確認する。
張り詰めた緊張が解け。全身からどっと汗が噴き出す。
「お疲れ様」
『ン、オツカレ』
「にしてもいきなり持っている札全部使えとか言われたから肝を冷やしたぞ。」
『イマノソウビデ、サイゼンノテ』
「まぁお前がそういうなら間違いないんだろうけど、結構散財したな・・・」
『ドンマイ』
「おい、こら」
これ以上言っても何にもならないだろう、
それより今の後処理をして報酬をもらった方が有意義な気がする。
「あ、今日清子さんがご馳走作ってくれるみたいだからちゃんと夕飯の時間には降りて来いよ」
『……ゼンショシマス』
あ、コレはちゃんと迎えに行かないと来ないやつだ。
仕方がない、部屋まで迎えに行くことにしよう。
インカムでの通話を終えるとタイミングを見計らったかのように
松木大河が路地裏へと入ってきた。
「どう?終わった?」
「見ての通り完全勝利です。」
「おぉ、それは何よりだ。予定通り後で口座に振り込んでおくよ」
「あまり言いたくないですけど少し弾んでくれたりしませんか…今回持ち寄った“魔道具”全部使っちゃいましたので」
「え、そんなにヤバかったの?」
「ここ最近ではかなりの強敵でした。それも不自然な程に……」
「あぁ~“人為的”って事か……久しぶりにキナ臭いのが来たな。分かった、今後の事も考えて前金も用意しておく」
「随分気前がいいですね」
「ついでに後でお使い頼むからその費用だ」
不敵な笑みで笑うおっさんが此処に一人、よほどろくでもない事を考えている様だ。
余り関わらないのが吉なのだが、そうも言ってられないのがこの業界の狭さである。
それに半分身内とっても過言では無い彼には【僕達】は顔が上がらないのであった。